Day5 その1 テート・ブリテンで絵の世界に浸る London2016

5日目の朝です。今日も青空は曇り空の隙間からのぞいているだけの天候です。この日も早く起きることができたので、ヨーグルトを食べてすぐに出かけたら、ラッシュの電車に乗り合わせてしまいました。と言っても東海道線や山手線や東西線…(以下略) の本場の本気のラッシュ電車と比べると、ああ、今日はちょっと空いてるな…と思う程度ではありました。Vauxhall駅で降りてからVouxhall橋を渡っていたら気持ち良い風が吹いてきて、ロンドンの朝は程よく忙しそうで、せわしなくはなくて、いいな、と景色を眺めながら思いました。この気持ちよさを写真に撮ろうと思っただけなのに、たまたまSIS(秘密情報部)が正面に写っちゃっていることは、後(今)に知ることであります。リアル007の世界…!

橋を渡った後に本日1件目の目的、テート・ブリテンを訪れましたが、閉まってる…。確認したらオープンは10時からでした。時計を見ると9時半過ぎ。9時には美術館は開いているだろうと思い込んでおり、オープン時間をチェックする、という発想がまずありませんでした。近くに公園でもあれば、ベンチでぼーっとしようとスマホを取り出して地図を確認すると、昨日巡った観光名所である、ビッグ・ベンとウェストミンスター寺院が徒歩圏内ではありませんか!朝早ければ、中に入る行列も少なそう、と思いウェストミンスター寺院を目指すことにしました。

10分くらい歩いて、ウェストミンスター寺院にたどり着きました。昨日は通らなかった建物の裏側に来たので、にじり寄って天井裏も撮ってみました。繊細な造作できれいだなー、としみじみ感動します。

ブルーグレーの空に重厚な建物が映えます。

正面に回ってきました。昨日は引きの絵しか撮ってないので、やたらに近づいて撮ってみます。

で、近づいて、昨日みたいな観光客が周りに一切おらず、様子がおかしいことに気づきます。BBCのロゴが入ったバンが周りにたくさん停まっており、記者らしきパスをぶら下げた人がわんさかおります。行列はありましたが、中に入っていく人たちは、ドレスアップして、どう見ても関係者らしき人々ばかりです。今日は中に入れないくさい、と早々に感じ取りましたが、とりあえず中で何が起こるのかが知りたくて、行列の一番後ろで案内をしていた、メガネをかけた親しみやすそうな女子に声をかけてみることにしました。

「えくすきゅーずみー。今日は何かイベントあるの?」

「そうなの。ほげほげほげほげBBCほげほげほげほげ結婚ほげほげほげ(ニコっ)」

やばい、BBCと結婚しか聞き取れなかった。メガネ女子がニコッとしているのでサンキュー言って去ろうかとも思ったのですが、有名人が結婚式挙げるなら誰か知りたすぎるという思いが走ってしまい、「ごめんなさい、もう1回教えてもらえます?」と聞いてしまいました。メガネ女子は「えっ」と困惑した表情を浮かべながらも、もう一度同じことを言ってくれました。結果、BBCしか聞き取れず。口では「ありがとう」といい、心の中で「2回も同じこと言わせたのに、全然聞き取れなくてすまん」と謝罪しながらその場を去りました。確かにメガネ女子はちょっと早口でしたが、聞き取りができなすぎてショックでした。イギリス英語、自分にはハードモードすぎる。後でぐぐってみましたが、誰が結婚式をあげるのかは結局判明しませんでした。今思えば、ドラマの撮影という可能性もあったな…

そろそろ10時になりそうだったので、テート・ブリテンへ戻ることにしました。横の入り口も近づいて観察。やっぱりきれいです。中に入ってステンドグラスは拝めませんでしたが、帰りに裏口で中に入れないか交渉しようとするチャイニーズたちがおり、ドアが開いたままでステンドグラスも見えていました。そっと後ろについて、どさくさに紛れて中を拝見させていただきました。青くてきれいでした。それなりに満足して、その場を去りました。

戻ってきたらテート・ブリテンの扉が開いてました。早速中に入ります。テート・ブリテンもやっぱり無料でございます。ありがたいありがたい。

とりあえず荷物を預けたりトイレ行ったりしようと思い地下におりました。公共の建物のトイレには、だいたいダイソンのハンドドライヤーが備え付けられており、日本のハンドドライヤーの非力さを思い知らせてくれるほど水滴を跳ね飛ばしてくれます。さすがダイソン。地下にも少し展示室があり、覗いてみたらアリスのカードとか展示してあってかわいかったです。しかしその展示室はドキュメントに関するものがメインだったようで華やかさはなく、人は全くおりませんでした。

1Fに戻り、さらに上の階に上がろうとしたら、壁面がモダンアートのようにペイントされておりました。天井からは光が降り注ぎ、とてもいい空間です。色合いも渋くて落ち着きます。

気になった作品1作目。Paul Neaguという人のGreat Tactile Tableという作品です。ガラス素材や木でできた小さなボックスの中には小さいメタリックなオブジェが入っているそうです。このボックスの1つ1つは原子を表しているのだとか。作品のコンセプトはよくわかりませんが、アンティーク仕立ての雑貨ぽくてかわいいなーと思って撮りました。

気になった作品2作目。なんか赤いぶつぶつのグラデーションがある…と近づいてみると

文字がタイプしてあって、その間隔を徐々に狭めてグラデーションにしていました。きっとポエティックなこと書いてあるんだろうなーと思いましたが、自分の語学力では何かを感じ取ることができませんでした。説明読むと「アクション・アドベンチャー・ムービー」って書いてあるんだけどそれ風なフレーズを書き並べ、下を狭めていくことによって概念的にアクション・アドベンチャーを表現しているのかな?わかりませんが文字列も遠目で見ると絵画に見えるし、文字とか絵とか行った概念を超えているということを感じさせてくれるだけで好きな作品です。Fiona Bannerという人のBrak Pointという作品でした。

テート・ブリテンという名前から、印象派以前の古い絵がたくさん飾られているのかと思っていたら、のっけから現代美術の連続だったのでびっくりしていました。しかしやっとイメージ通りの展示コーナーが現れました。金縁に彩られた油絵コーナーです。

このドレスのベルベット感とか、3時間くらいデスクワークして腰痛いわあ感がすごくいいなあと思って撮りました。イギリスの画家といえば、でおなじみミレーの作品です。ミレーの描く女の人は無駄な色気とかないのに、そこはかとなく女性らしくて好ましいです。

そしてテート・ブリテンに来たらこれは見なくては!の同じくミレーのオフィーリアも飾ってありました。やっぱり名をはせるだけあって、引き込まれそうな魅力に溢れた作品です。近くで見ると水面に浮かぶ小花の描き込みの繊細さがすごくてうっとりできます。これはわざわざ生で観に行く価値のある絵だなあと感心しました。

オフィーリアは当然素敵だったのですが、一番気に入ったのはこの絵です。ミレーと同じラファエル前派らしいJohn William Waterhouseのシャーロットの女です。ファッション雑誌の巻頭グラビアみたいな現代の感覚で見ることができてしまいます。ファッション雑誌の写真の源流は絵画ということで良いかもしれない。これもキルトの描きこみとかボートに絡まる枯葉の描き込みとかが半端なくて、この世界観の中にずっといたくなります。この絵だけ最後にもう一度見に行ってしまいました。これも絶対生で見ることをお勧めしたいです。

そして建物自体が丸ごとターナー館も見逃せません。ターナーは国民的画家なんですかね。日本の知名度ってどれくらいなのか気になります。自分はルーブルで見て知ったくらいで、美術の授業では習わなかった気がします。

ルーブルのコテコテ宗教画を見た後のターナーは、一服の清涼剤のように心に響いたとです。ミニマリズムを好む自分には大変好ましい作風なのです。最低限の筆致で違う世界に連れて行ってくれる感じがたまりません。

これも好き。何かの動物らしき生き物が夕日に照らされて水を飲んでる。余計な説明が要らず、こちらが想像の羽を広げられるのが素晴らしいです。ターナーだらけの展示コーナーでたっぷり堪能させていただきました。

彫刻コーナーもありました。多分授業で来てる、スケッチしている子供たちに出会うのは海外旅行で美術館行った時あるあるですね。

美術に興味がない人には流し読みされたであろう今回のブログを乗り越えて、次は意外な場所でランチしに行きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to Top