Day7 その3 ロンドンから東京まで London2016

スーツケースを預けたホテルの最寄駅であるShepher’d Bushまで戻ってくると、雨は完全に止んでいました。むしろ晴れ間さえのぞかせてきていました。駅前はそれなりに栄えていて、イビスという、安めのツアーによくセットされている大きなホテルが目につきました。表示されている値段が結構安かったので、ここでもよかったかなぁと横目で見ながら歩いてたら、前から団体で歩いてきたホームがレス風なおっさん軍団の一人に何かよくない感じの言葉を浴びせられました。日本人を小馬鹿にしたのか、チャイニーズを間違われたのかはわかりませんが(ロンドンでは最近チャイニーズを罵倒する輩が横行していると何かで見た)、ホームがレス風の人ほど差別的な発言をしてくるなあ、と思いました。何言ってるのかよくわからないので、よくないことを言われている空気しかわからないのでまあいいのですが。

ホームがレス風で言えば、旅行中にバンドでもやっていそうな若い男子が、道端に皿を置いてじっと座り、ホームがレスな方のような施しを受けようとしている姿を2、3度見かけました。こんなに若い人でも働き口がないのか…とちょっとショックを受けました。入国審査で、ロンドン働こうとしていないことをしつこく確認された理由が少しわかった気がしたのでした。

ホテルに戻ると受付の中東男子は電話中でした。人の気配に気づいて振り向いたので、ジェスチャーで「預けたスーツケース持って行く」と伝えると、無事伝わったのか、電話で会話をしながらスーツケースが置いてある方を指さしました。お礼は小さく声に出して言って、スーツケースを抱えて外に出ました。

ホテルのすぐ近くに、Hammersmithの駅に向かうバスが止まるバス停があったので、そこからバスに乗るつもりだったのですが、運悪く乗るはずのバスがバス停よりも少し先に進んで信号を待っていました。仕方なく次のバスを待とうとバス停で待機したのですが、道路は大渋滞でバスは一向に進んでいませんでした。こんなに道路が混んでいたら次のバスがいつ来るかわからないし、もしかしたら歩いた方があのバスより早いんじゃないかと思えてきました。試しにGoogle Mapでここから駅まで歩きで何分かかるか確認してみると、10分でした。道路は広く、歩道も広く、駅までは平坦の道のようでした。スーツケースで10分歩くのはきついかなあと思いましたが、とりあえず歩いてみることにしました。5分歩いたらバスを追い抜きました。そして追い抜かれることはありませんでした。思ったよりは楽な移動でした。

スーツケースをゴロゴロ押し歩いてそろそろ駅かなあ、という距離に近づいた時、こじんまりとした素敵なホテルがあることに気づきました。Brook Green Hotelという名前でした。駅から近くて場所もいいし、ここならロンドンの真ん中よりもホテル代が安いのでは、と思ったので写真メモしました。後日HPを見たら、外観に反して結構カジュアルでモダンなインテリア、でも割と好きなテイストでもあったので、今度ロンドンに行ったらここに泊まろうと決めました。値段も予想どおりあまり高くなく、併設されているレストランの料理も美味しそうなのもポイント高いです。

ようやく駅に到着し、ちょうど一息ついたその場所が、初日に最初に駅から出た場所だと気づきました。今回はいろいろ事件があったなあ、またスタート地点と同じ場所に戻ってきて、ようやく旅も終わるんだなあ、と思いました。なんだか連続ドラマの最終回を迎えるような感慨深い気持ちでHammersmithの駅を眺めました。

しかしそう簡単に旅のエンドロールは流れてくれないのでありました。駅のホームで空港行きの電車を待っていましたが、一向にやってきません。来るのは「ヒースロー」が行き先表示されていない電車ばかりです。あまりにも空港行きが来ないので、もしかしたらヒースロー空港が終点ではなくて、その先に行く電車もあるのかな…と思ったりもしました。が、この標識を見つけて、やっぱり空港は終点だった!ヒースロー行きじゃない電車は枝分かれして全然違う駅に行く!と確信しました。危うく乗ってみてしまうところでした。そう、地下鉄は同じホームに来る、方向が同じ電車でも、全然違う駅に連れて行かれることがあるので、やっぱり油断できない乗り物の1つなのでありました。

次第にホームには大きなスーツケースを引き連れた乗客たちで溢れてきました。旅行中、地下鉄を10分以上待ったことがなかったので本当に不安になってきました。Citymapperで電車の運行状況を確認したところ、電車は16分遅れています。バスに振り替えろと書いてありますが、異国の振替輸送でミスしたら致命的すぎる、と思ったので他の乗客が動くまでは動けませんでした。何人かはホームから離れて行きましたが、大半の乗客はスーツケースの横で、困り顔で電車を待っていました。しばらくして隣に立っていたマダムが、突然ホームに取り付けられた電話でどこかと通話しだしました。マダムは電話の向こうの誰かに早口で何かまくしたてた後、電話をスピーカーにしました。話している内容から、どうやら相手は地下鉄の職員らしいことがわかりました。マダムがスピーカーにすることで、職員からの回答を他の乗客にシェアしてくれているようです。職員の回答は、とりあえず空港の3つ手前まで行く電車が来るから、それに乗れば、でした。マダムが空港まで行かないと意味ないでしょ!と言い返すと、とにかく空港まで行く電車はしばらく来ないから仕方ない、先に進みたいなら来る電車に乗って、と言いだしました。少しでも申し訳なさそうな素振りを見せないのが外国だな…と思った次第です。マダムも呆れておりました。

その後20分くらいたち、ようやく「ヒースロー」が行き先表示されている電車がやってきました。ホームのスーツケースは一斉に電車の中にドッと移動し、スーツケースのラッシュ電車となりました。辛かったですが、止まる駅止まる駅で乗客たちがスーツケースを適宜動かしながら下りる人に道を譲っているのを見て、みんな大変なのに、イラついたりもせず、助け合ってて偉いな…と感心しました。自分も不安やイライラを抑えて譲り合いに参加するようにしました。

30分ほど電車に揺られ、なんとか空港の駅に到着しました。そして到着した日に最初に乗った地下鉄のエレベーターに再び乗って、フロアを示すボタン表示が「0」「-1」だったことにびっくりしたことを思い出したのでした。このボタン表示とも今日でお別れです。

空港の中に入ってJALのチェックインカウンターを探しましたが、ぐるぐる回っても見当たりません。どうしよう…ととりあえずコードシェア便を出しているブリティッシュ・エアウェイズのカウンターに近づいて制服を着た風格のあるブラックのマダムに「JALはどこですか?」と聞いたのですが、眉間にしわを寄せられてしまいました。”What?”と聞き返されたので「J, A, L」とアルファベットで答えてみたのですがピンときていない様子。発音が悪い?と思ったのですが、マダムが思いを巡らせた後”Japan Air Line?”と聞き返してくれたので、発音が悪いのではなくて「JAL」という略語が日本人にしか通じないんだということに気づかされました。なるほどそうか…

「日本航空はあっち」と指差された方向には、JALの日本人スタッフと思われる女性が、マジックで手書きされた”Japan Air Line”と書かれた紙を持って立っていました。そうか、フライトの予定がずれたりすると、準備が整えられていない状態になってしまうのかー、としみじみ感じ入りました。いかにも臨時のカウンターといった端っこのカウンターまだ連れて行かれ、手続きした後ホテル代の支払いについてお尋ねしたところ、20分くらい待たされてしまいました。電車もかなり遅れ、ここでも待たされ、とても焦りましたが、ホテルに行くまでの交通費もわざわざ調べてきてくれ、払ってくれるということだったので、さすが日本の航空会社の細やかな対応といったところなのでしょうか。他の乗客はどうしているのかなあと思ったのですが、日本に着いてから要求している人が何人かいたので、自分もそうすればあまり待たされずに済んだかもしれないです。

チェックインした時に今回のお詫びということで、空港内で食事をするのに使える10ポンドのチケットをもらいました。機内食をしっかり食べる派なので空港で食事とかないわ…と思いましたが、日本まで持ち帰りできる容器に入ったジュースとかサラダにも使えるのかな?と思いロンドン市内でもよく見かけたEAT.というヘルシーそうな食材を使ったスープがメインのデリでチケットが使えるか聞いてみました。OK, ということだったのでオレンジとマンゴーのジュース、さすがにスープは厳しそうだったのでヴィーガン向けなフムスとファラフェルの具だくさんのサラダを買いました。そしたら店員さんがまだ買える!まだ買える!と言ってくれたのでそこにさらにブラウニーを追加し、まだいける!チップス!チップス!と煽ってくれたのでレジ下に並んでいたポテトチップも追加して10ポンド使い切りました。店員さんに感謝しました。これらは日本に帰った日の夜ご飯となりました。味は普通でしたが、野菜もりもりで良かったです。滞在中にスープも飲んでみれば良かったなと思いました。

飛行機は出発予定時刻に無事飛立ちました。ここに来るまでがまあまあ大変だったので、予定通り事が運ぶ状況に感謝してしまいます。

そしてさようならロンドン。屋根のついた小さな家が連なる街並みよ。

上空から眺めるロンドンは緑と池に囲まれています。この池がたくさんあるのはどのあたりなのでしょうかね。

飛行機が高度に達して安定したらお茶タイムです。あられミックスとコーヒー。しかし飛行機でもらうあられとかおせんべいの類をほぼ食べたことがありません。これも持ち帰って家族のお土産に混ぜました。

行きの機内食が絶大な美味しさだったので、帰りも期待していたのですが、帰りは普通でした。飯島奈美さんがプロデュースした日本初の機内食が絶大だったのであって、帰りはイギリス生産の外資系機内食なので普通の味でした。チキン南蛮とかそばとか日本に寄せてくれてはいるのですが、異国の人が作る日本食という感じでありました。味噌汁が飲めたのはうれしかったです。

そして食後のハーゲンダッツバニラも、日本のより量は多いけど、滑らかさやクリーミーさが全然足りない…日本の食のレベル高さをつくづく思い知らされるのであります。

でも機内食のデザートとして添えられていたマーブル模様のチョコレート&アイス&コーヒーは最強の組み合わせで幸せです。帰りもひたすら映画を見て過ごしました。ズートピアとか全然興味がなかったのですが、見たらとても面白かったです。ディズニー映画の面白さは安定しておりますのう。みんなが映画館まで見に行く理由がわかります…

最後の食事はエッグベネディクトでした。変に日本に寄せない料理の方がやっぱり美味しいです。よく焼いた甘い玉ねぎとトマト、酸味のあるソースがしたのフライドポテトまで伝わっていて、ジャンクでおいしかったです。

日本に帰ってきました。これは成田あたりかなあ?やっぱり田んぼの黄緑が目立って、ロンドンとは違う光景です。今回は到着がお昼だったので羽田の夜景が見られず残念でした。

出発した頃はまだ夏の名残が残っていたのですが、帰ってきたらすっかり秋になっていました。金木犀の香りがそこら中に広がってむせるくらいでした。でも日本に帰ってきたんだな、と思わせられる香りでありました。ロンドンはいろいろ事件があったにもかかわらず、何やらとてもよかったという印象の方が強く残っているので、そう遠くないうちにまた行きたいなあと思います。

ということで長々書き綴った2016年ロンドンの旅はこれにて終了でございます。完結できてよかったです。次はTwitterで記録しただけの台湾の旅か、途中で投げ出したポートランドの旅を書き綴りたいですが、何せ2、3年前の話なので微妙なところであります。

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