2日目 その5 美瑛のめくるめく丘の世界

レンタルした電動自転車に乗り、踏切を渡って直進した後大きな道路に出ると、向こうに「美瑛町」看板が見えました。横断歩道を渡り、看板に従って横道に入り、しばらく自転車を走らせると、右手に丘陵の風景が広がってきました。道は緩やかな上り坂です。しかし思っていたより、電動自転車でも上り坂がきついです。少し先に、同じように丘をサイクリングしようと自転車に乗っていたおそらくチャイニーズと思われる方々が、自転車を降りて押しながら進んでいました。この時点で坂道を超えられないと相当きついのでは…と思ったので、頑張って坂道を登ってみました。ちょっと頑張れば登れたので、もしかしたら手押ししていた方々は電動でなかったかもしれません。電動じゃない自転車で美瑛の丘を巡るのは絶対にやめたほうが良いと思われます。

とりあえず第一関門の坂道をクリアすると、全方向的に視界が開けた丘の上に出れました。真っ黒な家が風景にとても映えてかっこいいです。そしてとても気持ち良いです。

ここからどうやって進んでいこうかなぁ、と悩みましたが、とりあえずレンタル自転車屋さんでもらったイラストマップにしたがって、印象的な木の風景の名所を目印に進んで行くことにしました。正直、来る前はこんな木が立っているだけの風景、そんなに良いかな…と思ってしまったのでありますが、来てみるとそれ以外何も目印にするものがなく、それらを巡る目安にするしかないのだということに気づきました。

とりあえず右見ても左見てもこんな感じで、ここら辺一帯に来るだけで、既に非日常感は味わえております。当てなく自転車を走らせるには道のアップダウンが激しすぎるので、有名な木を巡って達成感を味わう事にしました。

自転車を走らせていると早速1つ目の木が見えてきました。向かって右手に見えるやつです。

 

これは「ケンとメリーの木」と言われているポプラの木です。70年代に車のCMで使用され、そのCMの役名がつけられたのだとか。確かに周りにこれだけ大きな木は他にないので、印象的ではあります。ここで写真を撮っていたら近くの駐車場に大きな観光バスが止まりました。よく見たら午前中に自分がツアーで乗っていたバスで、ぞろぞろ降りてきた方々の中に、午前中同じバスに乗っていた方もちらほらおりました。午後は丘めぐりツアーが開催されているのです。自分は最初から丘めぐりは自転車でするつもりだったのではありますが、この自由に走り回れる感じが格別なので、本当に自転車にしておいてよかったなーと思いました。

裏から見たケンとメリーの木です。そんなに時間をかける場所でもないかなと思ったので、とっとと退散します。バスツアーの方は少々時間を持て余しておりました。自分の気分で動き回れる幸せよ。

右を見ても左を見てもこんな風景しかありません。電線とかビルとか、日常を思い出す物体が欠片も見当たらないのであります。

道路幅はそれほど広くはありませんが、時折観光目的と思われる車が通る以外は、自転車しか走っていないので快適にサイクリングできます。観光バスが走りそうなルートは避けて通れる道がたくさんあるので大きなバスに囲まれることもありませぬ。

しばらく前方に理系大学生風の男子3人組がキコキコと自転車を走らせていたのですが、やっぱり普段勉強ばかりして体力がないのか(偏見)、きつい坂道で手押ししだしたので、颯爽と抜いていってやりました。そうしてしばらく走っていたら360度あたりを見回しても誰もいなくなり、世界に自分だけになりました。急な上り坂を頑張って登り、少し汗ばんだ後に吹き抜けてくる風の気持ちよさ、そしてどこを見回しても広がるこの風景、全部俺のもの感が半端なくてとてもとても気持ちよかったです。車でスイーっとここまで来ていたらきっと得られないであろう感動でした。体力に全く自信がない人以外には、絶対自転車で散策することをお勧めしたいです。車だと止められる場所も限られていますが、自転車だと好きな場所で止め放題なのも良いところです。

しばらく誰もいない道を走り抜けましたが、また車や自転車が増えてきました。おそらくこの「セブンスターの木」が目的の人々と思われます。こちらは名前の通りタバコが関係しているようです。CMに使われていたのかと思っていましたが、パッケージそのものに写真が使われていたようです。大きな柏の木です。

写真には写らないようにしてみたのですが、すぐ横にトイレや自販機があり、ちょっと観光地されすぎではないかと思いましたです。しばらくここにいたら、追い抜いた理系3人組もやってきました。自販機でジュース買って飲んでました。

車も多くて落ち着かなかったので、ここも早々に切り上げました。セブンスターの木の隣には白樺の木も連なっており、そちらもなかなか良い感じでした。上の写真だと1番奥でモコモコしているのがセブンスターの木で、手前が連なっている白樺の木です。

セブンスターの木から離れて、車が入れない小道をキコキコと進んでいくと、またエアポケット放り出されたかのように周りに誰もいなくなりました。見上げると「親子の木」が見えました。これは特にCMとかに使われていたわけではなく、並んで立つ3本の柏の木が親子のように見えるから名付けられたようです。この写真だと小さくてわかりづらいですが、真ん中にも小さくて細い木がいるのです。その木が子供設定のようです。親子の木の周りには駐車場も自販機も何もなく、最初に見た2本の木より印象的でした。

「親子の木」に近づくように走っていたら、木のそばまで近寄れる道を見つけました。入り口に「車”は”進入禁止」と書いてあったのですが、「は」ということは自転車ならいいのかなーと思った入ってしまいました。真ん中の3本目の木は、近くで見てもとても小さかったです。反対側に出ようと思ったのですが行き止まりだったので、仕方なく引き返すと、入り口の禁止看板のところに地元の巡回車と思われる車が止まっており、外に出て監視している人がおりました。なんか怒られるのかなー、とドギマギしましたが、特に注意はされず、やってきた車に鋭い目を光らせておりました。ひとまず自転車は許されているようです。でも近づいてもそれほど感激はしないし、よく考えたら遠景から写真を撮る人に迷惑なので、行かないほうがよかったかな、と思いましたです。

この後メルルという、アフターヌーンティーもできる森の中のカフェを目指して走っていたのですが、1度森の中に入ってから、走れども走れども目的のカフェが見つからず、スマホの地図を確認してみたら、全然違う方向を目指して走っていたので震えました。ここで日が暮れたらもう帰れない…と思って急いで走ってきた道を引き返しました。来る時は下り坂であっという間だったのですが、帰りは上り坂なので死にそうになりました。しかも森の中でほんのり寒いのです。結局元の丘の風景に戻るまでに20分くらいかかりました。空が再び開けて見えた時のホッとした気持ちは忘れられませぬ。本当は森の薄暗い道も写真に記録しておきたかったのですが、そんな余裕は1mmもありませんでした。

メルルにとても後ろ髪を引かれましたが、もう1度目指して森の中の道を進んで行く気にはなれず、また美瑛の丘に来る理由が1つ残ったからいいか…と諦めました。今度は市街地に戻る方向に進んで行くことにしました。ここからは迷うのが嫌なのでイラストマップじゃなくてスマホの地図で現在地を確認しながら行きました。電波が届かなくて場所がわからなくなることも1、2度ありましたが、ほとんどの場所で現在地を確認することができました。スマホの地図がなかったら再び迷っていた自信があります。文明の利器って本当に素晴らしい。そして前3つの木よりは知名度は低いですが、クリスマスツリーの木を発見することができました。でもいまひとつ良いアングルで収めることができず、電線がちょっと写り込んでしまいました。この道の反対側にペンションが建っているために電線が引いてあるのだと思います。ペンションの1階はカフェになっていたので立ち寄ってみようかなーとも思いましたが、もうそろそろ自転車疲れてきたモードに入っていたので先を急ぐことにしました。

クリスマスツリーの木から少し先に進んだら、とてもきれいに切りそろえられた斜面が続きました。これはトウモロコシなのかな?この後美瑛の小麦を使ったパンが食べたくてあるのうぱいんというパン屋さんに寄ってみたのですが、またしても定休日…平日は人が少なめで良いですが、定休日地獄にハマる可能性もあるので曜日は選ばねばなりませぬ。そういえば人気ペンションのスプウン谷のザワザワ村がパン屋を目指す途中にありました。こんな丘の真ん中で泊まれたら良いなあと思いましたが、1棟貸しで一人で泊まれる部屋がなかった(お金があれば別かもしれない)ので諦めました。そもそも大人気なので予約を取るのも難しそうなのですが。ムーミン好きな人とかツボにはまりそうです。

そろそろ市街地が近づいてきたなあ、というところに牧場がありました。左は牛かな?右は顔が黒い、サフォーク種の羊のようでした。広々とした場所で、気持ちよさそうに草をはんでおりました。

ここからしばらく走ったら、来る時に最初に苦労した坂道に戻り、今度は楽に下って街に戻りました。結構長い時間走っていた気持ちだったのですが、自転車を返しに行ったら2時間しかかかっていませんでした。足の疲れ的には休憩なし2時間くらいがちょうど良さそうです。

その後次の目的地に行くまでの電車まで1時間くらい余裕があったため、再び駅の反対側に、今度は歩いて行ってみました。美瑛の特産物を扱っている美瑛選果に行ってみたかったのです。でも歩いて行ってみたら結構遠く、自転車を返す前に行っておけばよかったと後悔しました。駅前だというのに、10分ちょっと歩いている間、誰ともすれ違いませんでした。。到着した後、ひとまず座って休もうと、選果工房のテラス席を確保しました。日差しがあったので屋根付きの場所がよかったのですが、そういうスペースは残念ながらなく。

選果工房の中のインテリアは真っ白で、東京にあるおしゃれなデリカフェの雰囲気でした。美味しそうなプリンやロールケーキ、パニーニもあったのですが、歩いてきて喉が渇いていたので、ソフトクリームにしました。名産らしい、えりも小豆つきの方です。ソフトクリームはさすが北海道産の乳製品を使っているだけあって濃厚で、でも渇いた喉をするっと通り抜けるさっぱりさも併せ持っておりました。小豆も豆がホクホクで、ソフトクリームのミルキーさを殺さないほどよい甘さです。毎日身近でこんな美味しいソフトクリーム食べてたら、もうラクトアイスとか食べられないですやん…と思ってしまいました。

美味しいソフトクリームで満足した後は、そろそろ電車の時間も近づいてきたので、駅前に戻って次の目的地に向かいます。

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