Day5 その5 Violetとカップケーキとギター London2016

フラフラ散歩をしすぎて疲れて地下鉄に乗り込みました。乗った車両の端の席がちょうど空いたので、喜んで座ろうとしたところ、隣の紳士が広げていた新聞に釘付けになりました。”The Stone Roses”の文字が躍っていたのです。興奮しました。そして興奮冷めやらぬまま盗み撮り。そういえば駅にPixiesのポスターも貼ってあった時も感動しました。移動のために地下鉄に乗る、というド日常の間にローゼスやPixiesの文字列が見られる、ここはロンドンですなあとしみじみ感じ入りました。

地下鉄でHighbury Cornerの駅まで行き、その後さらにバスに乗り換えました。遠い…とは思いましたが、今度いつロンドンに来れるかわからないので、思い残しがないように行きたいお店には行っておかねばなりません。街並みは今まで見たことがある場所のどことも違い、庶民的というか若干殺伐としてなくもないような雰囲気になってきました。団地みたいな小さなアパートがたくさん立ち並んでおりました。

バス停に着いてからは歩いて1分で目的のお店に着きました。VIOLETというベーカリーカフェです。この辺一帯はイーストロンドンと呼ばれる地区で、以前は荒れていたようですが、今はアーティストやクリエイターな人々が移動してきて、おしゃれなお店を続々とオープンさせているようです。ニューヨークでいうとかつてのブルックリンみたいなものなのでしょうか。確かにVIOLETの雰囲気は、ユルいのに、何とはなしにトンがっておりました。オシャレであることが日常の若者たち(モードではない)が自然に足を運ぶカフェという雰囲気であります。

ここから歩いて10分程度の場所に、E5BakeHouseというロンドンで1番尖っている(日本でいうと365日?)と言われているらしいパン屋もあって、そこにも行ってみたかったのですが、なんかもうパン食べたいっていう気持ちが沸き立たなかったので行きませんでした。今の所それが1番の心残りです。パン教室もやっているみたいなので、次行けることがあれば是非教室に参加したいです。

中に入るとすぐに魅惑的なショーケースがお出迎えしてくれます。この木枠の大きなショーケース自体も魅力的です。ちょっとかがまないと下の方が見られないのが難点です。下の段はカップケーキです。かわいいスモールサイズもありました。マーガレットの形にクリームが絞られていました。これ3種類くらい頼むのもいいなあとか思いました。

カップケーキの横にはデコレーションケーキもありました。飾りがフルーツとかじゃないのが日本と違います。上の段はクッキー。アメリカと同じ大きめだけど、サイズ感が心持ち控えめです。

ショーケースの上にもキャロットケーキやヘーゼルナッツトフィーケーキなど心惹かれるものがたくさんありましたが、やっぱりここはかわいさでカップケーキにしておこうとココアのケーキにすみれ色のクリームが乗っかっているやつを注文しました。見回すと1階にはショーケースとレジとキッチンしかなかったので、2階で食べられるのかなあ、カップケーキだけto hereしてクッキーとブラウニーはto goできるのかなあ、などと聞いてみようとしたのですが、言いたいことがありすぎてとっさに英語が出てきませんでした。焦って指差ししながら2階、これはto hear、食べる、これはto go…と単語のみで喋ったら、ヘアバンドから後れ毛をたらたら垂らしている、ロングスカートのオシャレな店員の女の子に、はあ?オメェ何言ってんの?みたいな文言と空気を発せられました。だいたい店員さんはブロークンでも適当に感じ取って確認してくれるものですが、それは他のお店の店員さんの優しさから感じ取ってくれているだけで、甘えていたことを悟りました。とんがっている店の接客は率直で怖いっす…。なんとか自分の思い通りに注文を終えることができましたが、のちにイギリスで「持ち帰り」はto goじゃなくてtake awayの方を使うということが判明しました。だから通じなかったのか。怖いようと震えながら紅茶が出てくるのを待っていたのですが、紅茶を出してくれた三つ編みの女の子は笑顔でお待ちどうさま〜と言ってくれたので全員が尖っているわけではないとわかってホッとしました。

階段を上がるといかにもクリエイター業な男女が、Mac Bookを広げてミーティングしながらコーヒー飲んでました。ちなみに写真はちょっと人が減ってから撮りました。黄色いカーテンがなんかその場しのぎに見えて、キメキメじゃない感じがユルい雰囲気醸し出してるなー、と思いました。

階段を上がってすぐのところにお水や砂糖が並べられてました。琺瑯の器に入れられた砂糖がかわいいです。お水もレモン水で、ナチュラルだけど少しこだわりを感じます。

窓際の小さなテーブルに、急須に入ったアールグレイティーとカップケーキを並べて記念撮影です。すみれ色とペパーミントグリーンの組み合わせがかわいいです。そして南部鉄器のような重めの急須と縁が少し欠けたミルクティー色のカップもかわいいです。外国のカフェでは、日本だとこれはお客さんに出さないで、と言われるレベルで食器の縁が欠けていても、わりと普通に出してくるあるあるです。飲食店バイトで厳しく言われてたので、最初はこれを出すのか…とびっくりしましたが、まあ確かに欠けてるとこ避ければ使えるし…と段々何も感じなくなってきました。

カップケーキは予想通り甘かったです。上のクリームは砂糖でじゃりじゃり系。ココアの生地もクリームの甘さを引き立てるために取り立ててビターにしているでもなく、全体的に普通な印象でした。普通においしいかな、くらいです。でもいかにもインディーなギターバンドのBGMが流れるユルい雰囲気の中で、温かいお茶を飲みながら、かわいい色合いのカップケーキを食べて、ボーとしていられる、というのがとても幸せです。ケーキはあっという間に食べ終えてしまいましたが、お茶はたっぷりあったので、窓の外を眺めながら結構ながい時間ぼーっとしてました。そしてBGMがあまりにも昔自分が好きな感じだったので、曲名を店員さんに聞きに行こうかしらとまで思いました。

しかし今は店員さんに聞かなくても、iPhoneのアプリに聞かせれば探し出してきてくれる便利な時代なのでございます。ググって曲名を調べてくれるShazamというアプリを見つけ出しました。アプリに聞かせたところ、すぐにアーティストを見つけ出してくれました。

何曲か突き止めたんですが、1番気に入ったのがこの曲です。昔こういうギターバンドの曲、よく聞いてました。懐かしい。今もこんな雰囲気の新しいバンドが生まれているのですね。やっぱりこういうギターが好きだ。

電車とバスを乗り継いで、ここまで来てよかったなあと幸福な気持ちに包まれてお店を出ました。今度E5BakeHouseに来ることがあれば、VIOLETにももう一度来よう、と思いました。外観の写真を撮ってたら、オシャレ若者だけでなく、ご近所の方がケーキを買いに来たりもしているんだ、ということに気付けました。

そして食べずに買って帰ったお菓子たちは、そのまま日本まで持って帰りました。こちらはトフィーとブロンディのハイブリット。底に敷かれているのがトフィーです。ねっちりとはしておらず、結構さっくりと噛み切れました。甘さ×甘さでしたが、食感が違うトフィーとの組み合わせは意外と新鮮でした。トフィーは色々なお店で色々なお菓子に使われていたので、イギリス人のトフィー愛を感じました。

もう1つは塩チョコレートクッキー。見た目は不細工で、味もまあまあです。これもぱらりとかけられた岩塩があまり役立ってない強力な甘さでございました。

次は日も暮れてきたので街中に戻って、お買い物をしてロンドン最後の夜の外食を楽しむのです。

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