土井善晴先生の料理教室 12月のおでんとおせちの準備
だいぶ遅れておりますが、昨年の秋から春先にかけて通っていた、土井先生の料理教室の内容を記録しておこうと思います。晩夏の残暑が厳しい今日この頃なのに、我ながらなんという季節外れ甚だしい内容のブログを更新しようとしておるんだ、とツッコミが入ったものの、内容に合わせて今年の年末まで書くのを待つのが嫌だったので書きます。読者無視。
実際の教室は12月初旬に行われ、今年最後ということで年始の準備について最初に土井先生から説明がありました。これは煮しめの形についての説明でした。1個1個が芸術品のように整っていて美しいです。それぞれの形の意味も教えてもらいました。メモしてないのでググってくださいませ。先生の教えは基本関西ベースなので、自分の知っている関東ベースのものと違うところがあるのが面白いです。
今回は黒豆の煮方だけ実演で教えてもらいました。黒豆を煮るときに土井家で代々使用されている鉄釘です。写真はスクリーンでしか撮れませんでしたが、生で目撃しました。がっつり錆びてました。この釘の鉄分が豆本来の黒い色を引き出してくれるために入れるということです。錆びている方が鉄分が溶け出しやすいらしいのですが、このビジュアルのものを鍋に入れる勇気が自分にはありません。先生はきれいな晒しのふきんに包んで入れていたのですが、それでも自分にはできないなあと思いました。
黒豆は小田垣商店というお店の丹波の極上物を使用しているということ。豆の状態からツヤっとしていて美しいです。去年黒豆を煮た時はケチって北海道産にしてしまいましたが、うまく煮れるようになったら、勇気を出して丹波のものを使ってみようと思いました。
実際黒豆を煮ようとすると、一晩煮汁につけないといけないとか、弱火で8時間煮ないといけないとか、とにかく時間がかかるので、教室ではアク取りなどのポイントの説明だけしてくれる形でした。教室はデモ形式で手元はスクリーン越しにしか見ることができないのが辛いところです。そしてスクリーン前の方が必ず入ってしまいます。勝手に写してしまってすいません。写真ヘタか。
実際煮るときのタイムスケジュールは
12月29日 一晩戻す
30日 8時間煮る
31日 お重に詰める
がおすすめとのこと。8時間煮るというと大変そうですが、アク取りを終えて落としぶたをしてからは、基本ほっといて良いので、その間に別の仕事をすれば良いとのことでした。ただ煮汁から豆の頭が出るとしわになるので、煮終わるまでは都度熱湯を足す必要があるようです。年末にこういう作業をするのが当たり前だと考えていない場合、料理が趣味の人以外はやはりハードルが高いのではと思いました。
黒豆の煮方以外に、お正月のあしらいについても少し学びました。お正月近くになると南天などの葉っぱがスーパーに並ぶので、それをお正月の食卓に利用すると良いとのことでした。しかし近所のスーパー数軒を巡ってみましたがこのようなオシャレ葉は販売しておりませんでした。関西のオシャレスーパーには売っているのでしょうか。漆の真っ赤な器や水引の箸袋がとても素敵です。黒豆も、葉をあしらっただけなのに、ただお皿に盛るよりだいぶ特別感が出ます。
お正月の話の後は待望のおでんです。おでん。夏でも食べたい。使う具は大根、たまご、こんにゃく、ちくわ、厚揚げ、ごぼ天、じゃがいも、もち巾着などの定番以外に、牛すじの串がありました。おでんで食べてみたかった具の1つです。そういえば関西ではこの手のおでんは「関東炊き」と呼ばれていると教えてもらいました。教えてもらった料理は、正式にはおでんではなくて「関東炊き」であります。でも面倒なのでここは「おでん」でいきます。
各具の下ごしらえはざっと教えてもらいました。練り物の油抜き面倒と思っていましたが、こんな風に全部をざるにのせて熱湯をかけるだけなら楽かもと思えました。
そういえばおでんの説明をする前に、重要なポイントとなる出汁の取り方について説明がありました。一応普段の料理で出汁は取っていたので取り方は知っていたのですが、出汁の元となる昆布や鰹節のそれぞれの特徴をざっくりですが教えてもらいました。知らなかったのでとても勉強になりました。メモっておくと
- 真昆布…最高級昆布。料亭で使われる
- 利尻昆布…京都でよく使われている上等な昆布
- 日高昆布、煮昆布…すぐ煮える、日常使いのお手頃昆布
- 上花鰹…血合いをとった鰹節。上澄みを使う
- 鮪、鰯削り節…血合いがある分、旨みが強い。日常使い向き
ということでした。1番だし、2番だしについても教えてもらいました。今まで1番だしの取り方が1番美味しい出汁が取れると思い込んでいたのですが、1番だしは色や見た目の美しさ重視で上澄みだけをすくい、おもてなしの料理に使うもの、2番だしは旨み重視で日常使いするもの、と初めて知りました。今までも2番だしの取り方で料理を作ってきたので、これからも毎日の食事は2番だしでいいんだ、と思えました。写真は具を鍋に並べて2番だしを漉しながら注ぐところです。
大根やたまごやこんにゃくは下茹でをしないといけないので少し面倒ですが、後はだしでひたすら煮ておけば良いので簡単な料理です。もち巾着だけは餅が溶けちゃうので途中で入れるようにとのこと。あと煮てから置いておく時間が4〜5時間ないと味がしみないようなので、お昼から作るか、前日煮ておくかしないと美味しくないみたいです。
しかし置いておく時間さえ確保できれば、食べる直前に煮直すだけですぐに美味しいおでんが食べられます。試食でも前日煮たものを用意してくれていました。土井先生レシピのおでん、大根も牛すじも柔らかく味がしっかりしみてました。でもお店の濃い味のものとは違う、バランスのとれた優しい家庭料理の味です。写真見てたらおでん食べたくなってきました。もうちょっと涼しくなってきたらおでんを作ろうと思います。おでん以外はお馴染み白菜の漬物と黒豆の試食だけでしたが、味が美味しいのでとても豊かな食卓に感じました。
先生の黒豆はとてもふっくらして味も優しく、自分が去年先生のレシピを見て作ったものとだいぶ違いました。先生がテーブルに来てくれた時に、自分が作ってみたときは、味が濃くなって甘じょっぱさが強調されすぎてしまったことを相談してみました。そして煮汁が少なくなってきたら、まめにお湯を足すことと、あまりにも味が濃くなるようだったら8時間煮ないでもいい、置く時間を長くして味がしみるようにしはったらいい、とアドバイスしてもらいました。先生に直接アドバイスをもらえる喜びよ…!
そして頑張って先生提案のタイムスケジュール通り黒豆を煮てみました。結局今年も予算の都合で丹波の黒豆ではなく北海道産のものを使ったためふっくら感は出ませんでした。味は去年のよりはマシでしたが、先生の味を思い出すとまだまだ甘じょっぱさが強すぎる仕上がりとなりました。今年度末の黒豆はもっと美味しく作れるように頑張ろうと思います…
りんごの甘露煮と栗きんとんも先生のレシピでつくってみました。この教室の時にこれらのレシピが詰まった「おかずのクッキング」年末年始号をもらったからです。甘露煮もきんとんも黒豆に比べると美味しく作れました。
さらにその号のレシピからかぶの甘酢漬けと酢ごぼうもつくってみました。こちらも美味しく作れました。甘いものばかりなので酸っぱいと甘いを交互に食べるための作り置きであります。
食べる時はこんな風に小皿に乗せたり、よしざわ窯で買った四角いお弁当箱みたいなお皿に、お重のように詰めてみたりしました。鶏照り焼きも同じ号のおかずのクッキングに載ってた土井先生のレシピです。菜の花のお浸しは緑が欲しくて無理やり作りました。本当は先生みたいに南天の葉などを飾りたかったのですが、手に入れられず…
余った鶏照り焼きやかぶ甘酢漬けはこんな風に丼にしたりして、年始のだらけたい時期に、料理から解放されてみました。冷蔵庫から出してご飯にのせるだけ。味が濃いめなので美味しいです。
さらに余った黒豆は、抹茶チーズケーキに仕込んでみたりもしました。チーズケーキに入れたら甘じょぱさがちょうどいいバランスになっておいしかったです。ブランデーにつけてパウンドケーキにしたりしてみるのもいいかなと思ってます。クリスマスは忙しそうだけど、年末休めたら工房販売向けにも作ってみようかな。