土井善晴先生の料理教室 2月の副菜まつり

 

いよいよ先生のお稽古も残り2回であります。2月のレシピは全部で7枚もありました。そんなに頂いたのは初めてです。この日は一般的には「副菜」と呼ばれるような、野菜や乾物を使った小さなおかずの作り方を7つ学びました。

まずはほうれん草の下ごしらえから教えてもらいました。と言っても洗って根元をカットする程度のこしらえですが。ボウルに水をはってほうれん草を入れて砂を落とした後、根元の先だけ少しカットし、十字の切り込みを入れておりました。土井先生のレシピは、味付けや行程はシンプルなのですが、下ごしらえは丁寧です。こういうところに味の差が出てくるのかなあと思いました。

ほうれん草のおひたしはたっぷりの水をお湯で沸かして茹でるのかと思いきや、まったく想像にしなかった光景が目に入ってきました。フライパンに1/3の水を入れて煮立てたら、そこにほうれん草を入れて蓋をしてしまうのです。これは蒸し茹でにしているとのこと。確かにこちらの方が栄養素の損失も少なそうです。フライパンを使うのは早く火が通るから鍋より良いそうです。今まで中くらいの鍋に、無理やりほうれん草を折り込んで茹でていたので、以後青菜を茹でる時は全てこの方法でやることにしました。ちゃんと火は通るし色もきれいに仕上がります。鍋で茹でる時と同じように、フライパンで蒸し茹でにするときも、ひっくり返して両面に火を通してました。

およそ2分程度でフライパンから取り出し、水にさらした後、水気を絞ったら、適当な大きさにカットして、鰹節と醤油をかけて出来上がりです。あっという間に1品できました。お店ではおひたしにだし汁を使うけど、家で食べるならこの組み合わせで十分とのこと。ほうれん草を美味しく蒸し茹でにできれば、確かにこれだけでも美味しく作れそうです。

ほうれん草を使った2品目は、ニンニク炒めです。これを習ってから、以降自分がどんな野菜をニンニク炒めするときも、この方法をベースにしています。ほうれん草は洗ったら水滴がついたままにしておきます。そして油にニンニクを入れたら、塩も入れて、ニンニクが焦げたら水滴がついたままのほうれん草を投入します。水滴がついていると火が通りやすいそうです。そして最初は触らず、底の方がシナっとしてきたら返します。これらのコツだけで、簡単においしい野菜炒めが作れるようになりました。

自分で作る時はカットしがちだった根っこのピンクの部分も先生は残してました。緑の鮮やかな色とピンクのコントラストは、もはや芸術作品のような色の美しさであります。

この後の小さなおかず作りは並行して進みました。白菜は浅い鍋で蒸し茹でにした後、水にさらさず、カゴにあげて塩をふられておりました。この後、油揚げと一緒に煮浸されます。

煮汁を煮立てたら油揚げを入れて、水気を絞った白菜を入れて出来上がりです。小松菜の煮浸しのレシピも教えてもらいましたが、白菜には入れていたみりんを入れていなかったのが特徴でした。白菜は淡白な味だから、味付けで華やかにするためのみりんを投入したと思われます。味付けを華やかにしたい時にはみりんを使う、と教わりました。煮上がったら一度コンロから外し、温度を下げながら味をしみこませるとのことでした。煮物は冷ますときに味がしみるんですよね。

続いてはぜんまいを使った煮物です。ここからは乾物がメインのおかずです。ぜんまいは青干という、青さを残したまま乾燥させたものを使っているとのことでした。ハードル高そうでしたが、水で戻して茹でるだけで使えるそうです。

ぜんまいを最初に油で炒めてから、油揚げと煮汁を入れて出来上がりです。簡単。お惣菜などで食べたことありますが、自分で作ろうと思ったことはありませんでした。見た目は渋いです。

続いてひじき煮です。ひじきには小さな芽ひじきと、長ひじきがあります。今回は芽ひじきを使いました。長ひじき、水で戻すと思ってたより長くなって怖いときがあるので、芽ひじきの方が好ましいです。

人参と油揚げは芽ひじきの大きさに合わせて細めにカットされていました。材料の大きさを揃えるのが大事なのです。つい適当に切ってしまいますが、美味しいものを作るために必要なのは、本当にそういう丁寧な作業の積み重ねなんですよね…写真にはないですが、生姜も同様な大きさでカットされていました。皮付きで良いそうです。

ひじき煮もコクを出すために油で材料を炒めてから煮ますが、煮汁は水で良いし、味付けも醤油と砂糖だけです。こんなにシンプルな作り方で美味しく仕上がるのが少し不安に思いました。。

切り干し大根の煮物も実演してもらいました。自分で作る時は人参を入れていましたが、先生のレシピは油揚げだけです。代わりに赤唐辛子が入ります。あとはひじき煮と同じ炒め煮、水、醤油と砂糖で味付け、です。

そして試食タイムです。ひじき煮、白菜と油揚げ、ぜんまいと油揚げ、切り干し大根の4つが各テーブルに運ばれました。大皿からひとまず食べる量を盛り付けて写真を撮ってみました。お味噌汁はわかめとお豆腐です。いつもの白菜のお漬物も。これだけ見てると部活帰りの中高生にキレられそうな質素な食事内容です。肉・魚一切ないです。

こういう小さなおかず好きなな自分でも、さすがにお腹いっぱいになるか不安でしたが、そこはさすが土井先生の味。どれも滋味深くて味付けがしっかりしていて、ご飯のおかずになる満足な味わいでした。特に各煮物に投入されている油揚げがとても良い仕事していました。それぞれの野菜や乾物の味をしみこんでとても美味しかったのです。この中で唯一のタンパク源だけあって、満足感に一役買っておりました。お惣菜で食べたぜんまいは甘くて味が濃く、あまり好ましい味ではありませんでしたが、先生のレシピで作ったぜんまいは、ぜんまいのほろ苦さと食感を味わえ、甘くなく、ちゃんとご飯のおかずになる醤油味が付いてました。切り干し大根も甘さを唐辛子がピリッと締めてくれてご飯が進みました。各おかずはたくさんおかわりできたので、お腹いっぱいになるまで食べました。

そして一番気に入ったひじき煮は、自分でもしょっちゅう作り置きするくらい定番レシピとなりました。砂糖が少し多めなので甘く煮上がるのですが、切り干し大根の唐辛子同様、生姜のピリッと感がその甘さをしっかり締めてくれるのでいくらでも食べられるのです。今までは作っても、味が単調なので栄養のためと惰性で食べてるところがありましたが、これを食べたくて作るようになりました。先生の調理を見ていた時に、本当に美味しくなるか疑った自分を反省しました。土井先生のレシピは本当に美味しいものが作れるので、料理上手になった気分になれます。

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